【Report】リースリング・リング in 京都
(10月9日に開催された「リースリング・リング in 京都」を有坂芙美子RR会長がリポートします)
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[リポート: 有坂 芙美子]
東京の下町で「リースリング・リング」が萌芽して、4年を迎えました。
高貴なリースリングの種子は見事に京都まで飛翔して、
2011年10月9日初めての「リースリング・リング in 京都」が開催されました。
主催者は、京都のワイン専門店『ワイングロッサリー』(社長:吉田妙子氏)。
場所は、関西日仏学館(京都市左京区)。
もっとも晴天率が高いという10月3連休の中日、京都大学前の日仏学館には、12時の開場とともに、参加者が早々に入場いたしました。昭和の雰囲気がなつかしい庭園には、すでに、リースリングワインと京都のおつまみの出展者が屋台の用意をして、お出迎え、参加者はカタログを手に、のどかにワインめぐりをはじめました。
趣向は、ワイングロッサリーの吉田まさきこさんのプロデュースによって、インポーター9社のリースリングを、京都のビストロ、京料理、パンやさんなど15軒のシェフたちが作るおつまみとともに味わう、というビュッフェ・パーティです。庭園のワインは、ヘレンベルガー・ホーフ(株)、木下インターナショナル(株)、Estate Wines、オルカ・インターナショナル(株)が出展。
おつまみショップは、ラ・ベルベーヌ「鴨のシャリュキュトリー盛り合わせ」、ビストロ・スポンタネ「フォアグラのステーキ」「イベリコ豚の自家製ハム」、ももてる「キャベツのアンチョビ煮」、biji「薬膳煮玉子、肉骨茶」、祇園こずこん「豚ホルモン串とソーセージの炭火焼」、鉄板28号「たこ焼。デリ」、トキ小箱カプセル「お豆腐ディップ、かりかりチーズのトルティーヤ」、Le Cafe「クレープ・フラムキッシュ」。
芳しい香りが嗅覚を刺激します。
日仏学館内、カフェ・スペースのワインは、ジェロボーム(株)、日本リカー(株)、ヴィレッジ・セラーズ(株)の3社。
おつまみは、伊昇庵「リンゴのシュトゥルーデル」、亀屋町たいげん「さば鮨、ジェラート」、ベーカリー・チェルキオ「いろいろなパン」、ワインバー・ワイングロッサリー「和牛ほほ肉のアルザス風サラダ」「ベーコンとたまねぎのキッシュ」。
会館3階のベランダでは、(株)ファインズ、(株)ラック・コーポレーションが出展。おつまみは、イル・ギオットーネ「サツマイモのスフレとゴルゴンゾーラにムース」、Ristorante t.v.b「トリッパのトマト煮込み」、エモン・トレーディングカンパニー「バスク産ピエール・オテイザの生ハム、サラミ」。
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その間に、ワインセミナーが3回ひらかれました。
◆山野高弘氏による
「もう絶対にあじわえない!! リースリングの名手が奏でる古酒の魅力を探る」
Bacharacher Kloster: Fuerstenthal Riesling Sekt Brut 2003 ¥9,450
Breuer: Sholossberg Riesling trocken 2002 ¥14,000
Erbacher Marcobrun: Riesling Auslese 1990 ¥14,900
リースリングは新鮮さが魅力的ですが、本来の果実が秘めている真価は、熟成したときに発揮される、といわれます。1990年のアウスレーゼ。偉大なヴィンテージワインが収穫から21年過ぎて、透明な琥珀色に輝きます。よいハムが放つ燻製の香りに、シナモンやキャラメル風味が複雑な世界を描きだす玄妙なワイン。アウスレーゼの甘みは熟成によって昇華され、凝縮した酸味が調和します。リースリングだけが描きだせる、甘・酸・美味の世界でした。
◆有坂芙美子が語る「リースリングの魅力」
Hugel et Fils: Riesling Jubilee 2005 ¥4,106
F.E.Trimbach: Riesling CLos Saint Hune 2002 ¥18,817
Zind Humbrecht: Riesling Clos Wincbuhl 2008 ¥6,694
Nikolaihof: Steiner Hund Riesling Reserve 2007 ¥5,935
アルザスを中心に、アルプスを越えたオーストリアン・リースリングが比較のために用意されました。いずれも山岳地帯のテロワールを見事に表現するワインです。参加者の方々にあえて、人気投票をお願いしました。一人2回挙手できます。その結果、オーストリアの「ニコライホーフ」が、一番人気。有機栽培がこれほど話題になる前から実施している醸造所の銘酒、でした。
◆今川栄造氏の「旧世界のエレガントさと新世界の果実味の豊かさを併せ持ったユニークなワシントン・リースリング」
Woodward Canyon Winery: Dry White Riesling 2007 ¥2,945
Charles Smith Wines: Kung Fu Girl Riesling 2009 ¥1,945
Long Shadows: Poet’s Leap Riesling 2008 ¥2,782
Eroica: Riesling Single Berry Select 2006 非売品
北方系品種のリースリングは、寒冷な土地で栽培されるとその風土の特徴を見事に解釈して独自のワインになります。ドイツ・モーゼル出身のドクター・ルーゼンがいち早く、ワシントン州の適性に注目して栽培したのが「エロイカ」です。ベートーヴェンの交響曲第三番「英雄」(エロイカ)にちなんで命名。ドイツから新世界へ、リースリングの変容が期待されます。
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12時に始まった会で、参加者たちはリースリングワインとおつまみの間を自由の散策しながら、飽きることなく好みの味を探求し続けております。日差しが傾く16時過ぎになっても、去る人は少なく、試飲会になれたプロフェッショナルでも、予想外の人気で、用意されたボトルが足りなくなりました。
遠くは福岡から来た人、大阪では絶対味わえない雰囲気と、京都だけがかもし出せる、テロワールをまるごと満喫している人々。17時になって、人々は去りがたい心情を抱きしめつつ、門から退出していきました。 京都でリースリング・リングは新たな扉を開きました。多大な準備に明け暮れた、ワイン・グロッサリーのティームの方々、ありがとうございました。
以上
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★主催者のワイン・グロッサリーさんより
「今回のイベントでの収益金の中より、東日本大震災支援のための寄付金248,451円を日本赤十字社に送金をいたしました」 という報告をいただきました。